古典籍移管中止に関する請願審査(2)

請願番号330の3、宮城県図書館資料の東北歴史博物館への移管の即時停止並びに移管決定に到る手続きの公開に関することについての質疑を求めます。
◆(本多祐一朗委員) 
 5月17日に、宮城県図書館蔵書のあり方を考える会という全国の研究者の方々のようですけれども、アピール文を出しております。かなりの全国の方々が出しているのですが、宮城県図書館の今日までの歴史とかその価値を大分強調していらっしゃいまして、宮城県図書館の今日まで果たしてきた役割を考えれば、東北歴史博物館に古典籍約11万点を移すべきではないという主張をしております。
 改めて、東北歴史博物館に移さなければならない理由を御説明いただけますか。
◎(教育長) 
 以前からお答えをいたしておりますように、現在図書館で所蔵している歴史的文書について保存管理、そしてその調査研究をより的確に行える環境をつくるという意味で、東北歴史博物館に移した方が適切だろうという判断のもとに検討を進めてきたものでございます。
◆(本多祐一朗委員) 
 保存管理について改めていろいろな方に伺ってみたところ、現在の宮城県図書館で何ら問題はないというお話をしております。燻蒸ができないとか何とか、いろいろ言っておりますけれども、そういう必要もないと。例えば江戸時代の文献については非常に紙の質もよくて、そういうものは必要ないと言われておりますが、その点について認識はいかがですか。私も見させてもらいましたけれども。
◎(教育長) 
 一般論として、適宜燻蒸するとか、あるいは一定の温度、湿度で管理するという形の方が、保存上よりいい環境だということは言えるのではないかと思っています。
◆(本多祐一朗委員) 
 現在、宮城県図書館に置いていて問題が発生しているという事例はあるのですか。
◎(教育長) 
 具体的に今現在問題だということよりも、今後の長期的視野でのより適切な保存管理を考えたときに、博物館の方がいいのではないかという判断でございます。
◆(本多祐一朗委員) 
 要するに現状では問題点はないと理解できるかと思います。
 そこで、研究をこれから進めていく上で東北歴史博物館の方がふさわしいということなのですけれども、その研究についても、宮城県図書館のこの古文書については、もうかなり文献としては整理されているのです。そういう意味からしても、どういう研究をこれからしたいのか、その点について一つ疑問ですし、それから、全国の研究者の方々が宮城県図書館に所蔵している貴重な文献を研究素材にしているということからしても、これは東北歴史博物館に移した場合にどういうふうになるのかという点が懸念されるのですが、これまでのような利用ができるのでしょうか。
◎(教育長) 
 研究については、その歴史分野に造詣の深い学芸員がそのことに当たるという意味で、現在図書館で行われているよりもより精度の高い研究ができるのではないかと思っているところであります。
 移管した後の取り扱いでありますけれども、一般的に博物館といいますと陳列展示するだけだというイメージはありますが、実際には博物館において、現状でも個別の資料についてリクエストがあれば学芸員同席のもとで随時見てもらっているということはあるわけであります。そういった意味では、基本的には図書館の現状における利用の仕方と同じ形での利用が可能ではないかと思っております。
 図書館においては、今度移管を考えているものについて、全部ではありませんが、一部レプリカはつくるということであります。したがって、移管した段階で、私どもの認識としては図書館と博物館と両方でどちら側においても同様の利用ができる形になると、そういう認識を持っております。
◆(本多祐一朗委員) 
 一般の県民の方々あるいは全国の研究者の方々が宮城県図書館という形で、さまざまな目録も通じて、あるいはインターネットも通じて、宮城県図書館に来れば利用できるというふうにしてきたところが、利用できないとなるとこれまた問題ですし、また、ことしは文化財も大変被害をこうむっていて東北歴史博物館も忙しいのではないかと思うのです。そういうことからすると、移管を余り急ぐ必要もないと思いますので、ここはもう1回、仕切り直しというわけではないですけれども、もう1回、広く県民の皆さんから意見を求めた上で議論をすると。その上でもう1回検討するという姿勢があってもいいのではないかなと思うのですが、この点いかがでしょうか。
◎(教育長) 
 その点は私どもとしても急いでやる必要がある話ではないと思っておりまして、今御指摘ありましたように、移管したとして、では東北歴史博物館でどういう取り扱いになるのかと、活用の仕方になるのかというようなことについて、私どもが考えていることと関係者が思っていることがどうも乖離があると思っております。そこら辺、もっと共通認識に立てるような意見交換といいますか、話し合いをやっていく必要があるかなと思っております。
◆(本多祐一朗委員) 
 いつごろそういう意見交換の場を設けるというふうになるのですか。
◎(教育長) 
 具体的にいつというところではございませんが、今後の基本的な方向性として、もう少し時間をかけて御理解を求めることが必要ではないかと思っております。
◆(本多祐一朗委員) 
 図書館協議会がありますよね。図書館協議会を開いて、改めて議論するということも一つのやり方ではないのでしょうか。
◎(教育長) 
 一つの形として、そういうことも考えられると思っております。
○(寺島英毅委員長) 
 質疑を終了いたします。
 続いて、採決を行います。いかがいたしましょうか。
    〔「継続審査」と呼ぶ者あり〕
 継続審査との声があります。請願番号330の3については、継続審査すべきものと決することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 御異議なしと認め、請願番号330の3については継続審査すべきものと決しました。