古典籍移管中止についての請願審査(1)
○(寺島英毅委員長)
請願番号330の3、宮城県図書館資料の東北歴史博物館への移管の即時停止並びに移管決定に到る手続きの公開に関することにつきましては、教育長から、質疑の前に、移管することになった経緯について説明したい旨の申し出がありますので、発言を許可します。
◎(教育長)
今回図書館所蔵の文化財資料等を移管するに至った経緯につきまして御説明を申し上げたいと思います。
まず初めに、現在図書館が所蔵している文化財資料等の現状について御説明をいたします。
宮城県図書館は明治14年の開館以来、一般の図書資料に加えまして、和古書、漢籍、古文書などの歴史資料や絵画、工芸品に至る多様な資料を収集し保存してまいりました。このうち、歴史的価値の高い貴重資料につきましては専門家に委託し、また東北歴史博物館の学芸員と協力し、文化財指定に努めてきております。平成11年度には現在の東北歴史博物館が開館したこともありまして、平成11年度、平成13年度に一部の貴重資料を博物館に移管する一方で、図書館におきましては、叡智の杜づくり事業などを通じ、レプリカ、複製資料を作成の上、図書館における展示や学校等への貸し出しにより、これを広く県民に公開してきております。
今回移管するに至った経緯でありますが、ただいま申し上げました図書館所蔵の文化財資料の現状及びこれまでの取り扱い等を踏まえながら、平成22年1月、県図書館及び博物館職員により改めて実物調査を実施いたしましたところ、約11万1500点に及ぶ文化財資料等が存在することが明らかになりました。また、その中には国及び県の指定文化財となり得ると見込まれる資料も多数存在することが確認されております。このため、これらの図書館所蔵文化財資料等の今後の取り扱いについて、県図書館及び博物館と関係課職員で構成する検討会を設け、図書館、博物館が持っている機能面や物理的な側面などを踏まえ検討した結果、東北歴史博物館に移管した上で調査、研究、保管、管理及び利活用を図ることが適当であると判断したものであります。
その主な理由は、大きく言って3点ございます。
一つには、県民の財産である文化財資料等をより適切に評価・管理するためには、専門の学芸員による調査・研究が必要であるということであります。
御承知のように図書館には司書はおりますが、文化財資料を調査・研究する学芸員はおりません。このため、これまでは外部に委託し、また、東北歴史博物館学芸員と協力しながら調査し、文化財指定に取り組んできております。現在所蔵している文化財資料等をより効率的に調査・研究し適切に評価していくためには、博物館の機能を活用していくべきであると考えております。
二つ目の理由といたしましては、文化財資料等の保管に当たりましては、指定文化財などの保護に適した保管環境機能が必要であるということであります。
県図書館には古文書等を保管する貴重書庫に温・湿度管理機能を持っておりますが、博物館には指定文化財の保管を前提として、24時間温・湿度管理はもちろん、空気環境管理や燻蒸施設などの保管・保存機能があり、文化財資料をより適切に保管できるものと思っております。
三つ目の理由といたしましては、貴重な県民の財産である文化財資料をできるだけ多くの県民に公開していくためには、文化財資料にふさわしい展示・企画機能や十分な展示スペースを確保する必要があります。
これまで県図書館では、2階の展示スペースにおいて展示公開してきておりましたが、博物館では、調査・研究成果に基づいた常設展示や特色ある資料を中心とした特別展示が可能な格段に広いスペースがあります。こうした機能等を有している東北歴史博物館に移管することにより、専門の学芸員による調査・研究を進め、積極的に文化財指定に取り組むとともに、博物館の展示・企画機能を活用して指定文化財の絵図等の実物展示や解説が可能になります。
このような取り組みを今後10年後、20年後を視野に入れて展開していくことにより、宮城の歴史・文化をより広範にきめ細かに県民に情報提供し、次の世代に継承していこうとするものであります。
また、博物館では、県民が所蔵資料の閲覧に訪れた場合は、図書情報室等において閲覧をしていただいております。したがいまして、文化財資料等の移管後も図書館の閲覧と同様に対応できるものであり、今回の移管が決してサービスの低下を招くものではなく、むしろ専門の学芸員の調査・研究成果に基づき、資料の価値を正確に伝えることができるなど、県民サービスの向上につながるものと考えております。
以上の考え方のもと、博物館、図書館におきましては、去る2月の博物館協議会及び図書館協議会に説明し、また、移管費用を計上した2月補正予算を先議案件として議会にも御説明をいたしているところであります。
今回の図書館所蔵文化財資料等を移管するという判断に立った経緯につきましては、以上のとおりでございます。
○(寺島英毅委員長)
教育長の今の説明を含めて、質疑を求めます。
◆(仁田和廣委員)
僕らは、今教育長が言われたとおり、先議案件としてまず承認をしている。それも踏まえながらですけれども、特に宮城県在住のそういうものにとても興味というか、意識を持っている方々からいろいろな懸念材料が来ているのです。
まず一つは、燻蒸。燻蒸については、今の図書館でもできるのではないかと。それから、学芸員。学芸員の資質まで僕らが語ることはできないのだけれども、いずれ図書館にいる方々と連携をとれば、今のままでもできるのではないかと。それから、先ほど教育長が説明してくれた、別の資料室で手にとって閲覧ができると。もう一つは、博物館に入れば入館料、それを見るために無料ではなくなるのではないかと、そういう懸念が言われているわけです。
私は、地域性からいうと多賀城市ですから、歴史博物館に持ってきてもらうことには気持ちから言えば賛成なのです。多賀城市の歴史博物館をもっと充実させたいという気持ち。ただ、青柳文庫とか養賢堂文庫については、全国的にも著名なもので、今現実にすぐに見られるとか、いろいろな利点があるのです。移管した場合に、その辺の配慮をもう少し……。例えば無料で見られるとか、別室でそれを手にとって見られるとか、その辺含めてどうですか。
◎(西條公美教育庁参事兼生涯学習課長)
まず最初に、燻蒸は図書館でもできるのではないかということですが、図書館では、先ほども教育長から申し上げましたが、温・湿度管理機能は持っておりますけれども、燻蒸の機能は持っていないということであります。
あと、博物館に持っていくと非常に閲覧がしにくくなるとか、あるいは有料になるのではないかということに関しましては、博物館では展示物は有料になりますけれども、それとはまた別に、所蔵資料の閲覧については当然ながら無料で、しかもそのための部屋を資料室、あるいは合同研究室等々必要に応じて閲覧者の希望をお聞きしながら応じているということでございます。図書館においても、今回移管するもののほとんどは通常は所蔵庫にありまして、図書室にあるわけではありません。閲覧希望があった場合は、博物館と同じようにその内容に応じて、代替資料で閲覧が可能だということであればマイクロフィルムなり、あるいは現物、原資料を見たいということであれば、閲覧が可能なものは原資料を見ていただいていると。それは、博物館も今後も同じ対応をしていく予定であります。
◆(仁田和廣委員)
まず燻蒸、古文書等を扱っている人に聞くと、有効性があるかどうか疑問を持っている方々もおられるのです。ですから、その辺はどうなのだろうかと。
それから、今マイクロフィルム等で対応するということなのだけれども−−もう1ランク上げた文化財にしようということで、学芸員の方々が何年かある程度期限を決めて、例えば10年だったら10年、その後に再度今の図書館に戻すと。青柳文庫は、御存じのように、青柳氏が個人の財産をはたいて宮城県のため日本のために収集とか貯蔵したり、維持費を出した大きな経緯もあるのです。その方が図書館から博物館に移転されることにどういう考えを持つか。寄贈された方の考えにも配慮を。
また、青柳文庫、養賢堂文庫等を日本全国にも知らしめたいということで、まず宮城県の図書館にあるということを前提にやっている部分もあるのです。その辺、将来的なことも少し視野に入れながら、また、無料化とか、無料のエリアやブースをつくるということになるのかを含めて、もう一回長期的な展望から答弁してください。
◎(教育庁参事兼生涯学習課長)
現時点での考え方をお話しさせていただきます。
移管する資料が、直接の現物を見るには少し危険がある、大分傷んでいるといったものは、第一次的にはマイクロフィルムで対応していただいていると。その意味で言えば、基本的にはマイクロフィルムも一緒に移管をした方がいいと考えております。ただ、確かにこれまではマイクロフィルムの閲覧を図書館でされてきた方、年間200件ぐらいのマイクロフィルムの閲覧がありますので、そういった方への対応として、移管はいたしますが、移管後において、場合によってはその複製物をつくりながら、図書館なりで閲覧できるようにするとか、そういった方法を検討はしたいと思っております。
それから、これから博物館で、移管資料をもとに調査・研究を進めた上で、その成果に基づいて、例えば文化財指定とか、あるいはその成果に基づいた展示・解説等々をやっていく考え方でおりますので、10年後に戻すということは、現時点では考えておりませんが、いずれきちんと成果が上がるように対応していきたいと思っております。
あと、燻蒸の関係でございますが、これは文化財保護課長から、必要かどうかということでございましたのでお話を申し上げたいと。
◎(文化財保護課長)
博物館には保存化学処理の方面を専門にしております職員がおりますので、そういう方の意見を聞いて、文書類、民俗資料とかについて、これまでずっと燻蒸してきております。それなりに成果が上がってきていると思いますので、必要かと思います。
もう一点、無料のブースとか、そういったことなのですけれども、確かに博物館といいますと、展示がメーンということで、常設展にしろ特別展にしろ有料で観覧していただいているわけであります。私たちのPRも余りよくなかったのか、博物館は図書館に比べれば利用件数は少ないですが、先ほど西條課長がお話ししましたように、博物館でも資料の実見、あるいは博物館で持っております文書資料などの閲覧は、図書館と同じようなシステムで行っております。今後、移管されたものについて、年間200件という数をうまくこなしていけるかどうかはこれからの努力次第だと思いますが、一生懸命やってまいりますので、よろしくお願いいたします。
◆(仁田和廣委員)
燻蒸の是非については、専門家が必要であろうと。過去の保存に比べ、燻蒸の有効性があれば、それはやっていただきたい。
また、複製にはなるだろうけれども、図書館の方にもそのマイクロフィルム等を置いて、年間200件といいましたか、その人たちに対応する。
もし現物を見たければ、歴史博物館に行って見てもらう。今言ったとおり、現物を直接見られるエリアやブースがあるということであれば、私としては気持ち的には了としたい。
学芸員は今後、文化財保護の面でワンランク上がるようにぜひ努力をしてもらう。これも大事なことです。例えばワンランク上がれば、当然保存のステージが上がるはずだし、いずれ宮城県の大事な、また全国でも大事な文庫ですから、そういう意味での永久的な保存をする部分でもプラスになるだろうと。私としては了としたいと思います。
◆(本多祐一朗委員)
11万点すべて東北歴史博物館に移管するということのようなのですが、私は少し無理があるのではないかと思うのです。少し分けて考えた方がいいのではないかと思います。例えば美術工芸品とか博物資料になる、文化財保護の対象になるようなものについては、確かに移管してしっかり燻蒸なんかもしてやる必要があると思うのですけれども、青柳文庫とか、養賢堂文庫とか、中に含まれている図書とか地図資料とかについては、私は図書館に残すべきではないかと思うのです。図書資料について、燻蒸は必要なのですか。まず、そこを伺っておきたいと思います。必要なのですか、お答えください。
◎(文化財保護課長)
全部を移管するということは無理ということでございますが、確かに青柳文庫、一般のイメージとしますと、文庫といいますと本という感じを持たれるかと思いますけれども、青柳文庫そのものが江戸時代の終わりぐらいからの一括資料として、図書館のこれまでの歩みを物語るということで、そのもの自体が文化財の価値があると思います。文化財の定義はいろいろあるだろうと思いますが、そういった意味で一括して移していただくということが図書館の職員、あるいは博物館の職員が合同で話し合って検討した結果だと思います。
燻蒸が必要なものかどうかということは、それぞれの状況を見まして、先ほど申しました専門家に見ていただきまして決めていくかと思います。
◆(本多祐一朗委員)
移さなくても現状の場でも見ていただけると思いますし、私も調べさせてもらいましたが、現存している古文書の場合でも、しっかり保存されている文書については、今はもう燻蒸はしないと伺っています。それはどうですか。
◎(文化財保護課長)
燻蒸するかしないかは、それぞれ評価が分かれるところだと思います。しなければならないものもありますし、しなくてもいいものもあるかと思います。私は全部を見ているわけではございませんし、また専門家の職員と話したわけでございませんので、今は一概には、どうこうとは言えない段階でございます。
◆(本多祐一朗委員)
だから、それは現状の図書館に残したまま専門家に見てもらえばいいのではないかと。図書類については、その後に判断すべきではないかとと思うのです。それが一つ。
それから、博物館に移しても県民にとっての利便性変わらないというお話なのですが、果たしてそうなのでしょうか。実際、その関連文書とかあるわけでしょう。博物館に移した場合に、それらはその場では閲覧できないでしょう。どうなのですか。
◎(文化財保護課長)
何度も申しておりますが、移ったものに関しましては基本的に、そのものがとても脆弱で現物を見ることがたえられないというものを除きまして、図書館と同じような扱いになると思います。
◆(本多祐一朗委員)
私が聞いているのは、そのものではなくて、それに関連する研究文書とか関連文書です。それはその場では見られないでしょう。
◎(文化財保護課長)
博物館にないものは当然見られないと思いますし、博物館にあるものは見ることはできます。同じであります。
◆(本多祐一朗委員)
だから、同じサービスにはならないわけです。そのことは明らかだと思います。さらに、その関連文書とかを複写する場合、この請願にも書いてありますが、複写もできないわけです。司書がいなければ。ですから、そういった点からすると、利便性はかなり低下するのではないかと思いますけれども、その点は認めますか。
◎(文化財保護課長)
代替フィルムで見ますマイクロフィルムの資料でしたら複写は当然できます。現物になりますと、複写の仕方が具体的にいろいろあるかとは思いますが、できないものもあるかとは思います。
◆(本多祐一朗委員)
私が言っているのは現物のことではないと言っているでしょう。関連文書を見られますかと言っているのです。博物館では、関連文書をその場で見られて複写できますかということを聞いているのです。
◎(文化財保護課長)
先ほど申しましたが、博物館にある資料であれば、図書館と同じように扱うということでありまして、できるものもありますし、できないものもあるということです。
◆(本多祐一朗委員)
博物館にあるものという意味からすれば、数は非常に限られるでしょうということを言いたいということです。
それから、この請願の中身を読んでいくと、全部が全部移すことに反対とは言ってないのです。図書類を残してもらいたいと。県民の利便性を今までどおり確保するためには、図書館に図書類については残して、一般の方々の閲覧とか学習に役立てていくということは必要ではないかということを言っているわけなのです。結局のところ、こういう決め方をして、我々も説明を受けた段階でははっきりとした認識持っていなかったので、今になってこういう議論をしているということは非常に残念なのです。ただ、今からでも修正すべきところは修正しながらやっていくことも必要ではないかと思うのです。その意味では、ここに書いてありますけれども、宮城県の図書館協議会の意見は聞いたことあるのでしょうか。
◎(教育庁参事兼生涯学習課長)
図書館協議会には2月に報告をいたしております。
◆(本多祐一朗委員)
報告をして、どういう意見だったのですか。
◎(教育庁参事兼生涯学習課長)
一部の委員の方からは、同意できないというお話があったと聞いておりますが、そのほかの委員からは特段の反対という意見はなかったと聞いております。
◆(本多祐一朗委員)
この協議会は何人ぐらいいらっしゃるのですか。一部というのは何人ぐらいの意見だったのですか。
◎(西條公美教育庁参事兼生涯学習課長)
メンバーは8人でありまして、発言があった方で反対という方はお一人と聞いています。
◆(本多祐一朗委員)
そうすると、意見も聞いているということになると認識しているということですか。
◎(教育庁参事兼生涯学習課長)
意見といいますか、従来からこういう案件につきましては、説明という形でさせていただいております。そういう意味では意見もお聞きしたということです。
◆(本多祐一朗委員)
あと、請願の中身では、県民の意見を聞く機会を設けるよう再考を求めるということも出ているのです。これから図書館利用者の方々も含めて、県民の意見を聞く機会を設ける必要があるのではないかと思いますけれども、その点については、県はどのように考えているのでしょうか。
◎(教育長)
冒頭私が説明いたしましたように、平成11年度、平成13年度も図書館から一部資料を博物館に移管しているという事実がありまして、そういう流れで従来から来ているということであります。その中で、昨年から両館の職員が協議して、今回、新たに11万5000点の文化財資料を移管しようということを決めたわけでありまして、私どもとしてはこれは唐突なことではないと認識をしております。
この問題の本質的な論点は、図書館に置くのがいいのか、移管するのがいいのかということではなくて、移管した上で移管した資料に対して県民がアクセスしやすい体制をどうつくるかと。それは歴史博物館だけではなくて図書館においてもという意味でありますけれども、その両方の施設において県民がアクセスしやすい体制をどう確保していくかということが本質的な論点だろうと思っています。そのための努力は今後とも私どもいたしますし、その具体的なやり方について懸念を持っている方について説明し、御相談し、御理解を得るという努力は必要だろうと思っています。
◆(本多祐一朗委員)
公共図書館はこの宮城県から始まったということで、宮城県図書館がその歴史を持っているという意味では、県民としては非常に誇れる一つではないかと思うのですが、こういうふうに始まった当初の文書が移ってしまうということで、宮城県図書館の、しかも利便性も下がっていくということからすると、宮城県図書館の機能とか価値観が低下するということはやむを得ないととらえているわけですか。
◎(教育長)
青柳文庫、あるいは養賢堂文庫をもともと県図書館が寄贈されて今まで管理してきたという歴史的な事実はあるわけでありまして、それが移管されたとしても、そのことによって図書館の評価が下がるということにはならないと私は思います。本質的な論点は、先ほど申し上げたように、移管した後で博物館と図書館、両方においてどう従来と同様の利便性を確保するかと、そのための努力をするかということがポイントだろうと思っています。
◆(本多祐一朗委員)
先ほどから学芸員という話も出ているのですが、図書館の学芸員というのは司書のことを言うのではないですか。
◎(教育長)
博物館には学芸員がおり、図書館には司書がいるということです。
◆(本多祐一朗委員)
要するに、博物館の学芸員に当たるのは、図書館の司書ではないですかと言っているのです。
◎(教育長)
今回移管するものは、文化財的な価値があると思われる資料であります。ですから、それを適切に保管し評価するためには博物館に置いた方がいいだろうという判断であります。
◆(本多祐一朗委員)
図書類に関しては、司書の方が専門性高いと思いますが、どう思いますか。
◎(教育長)
もちろん司書の方の見方というものもあるわけでありますが、それに加えて文化財資料としての価値をどう評価するかということであれば、学芸員の識見が必要だろうというふうに思います。
◆(須田善明委員)
本質的な部分の議論でと先ほどおっしゃられて、それは論理的にそのままだろうと思います。通常1級資料、それも図書館が所有するもので、今後の保存、また後世に残すということで考えれば、適切な管理体制のところに持っていくということは、論理的には多分だれでもそのとおりだなとなると思うのです。本質的なそういうところと、あとアクセス性というところは、もう一つ別だと思うのです。一番根っこにあるのは、神社から御神体を移すのですかという話だと思うのです。感情の部分で。それをどういうふうにきちんと御理解も得ていったらいいのかと考えることが、多分一番の根っこではないかなと私は思います。ここにはそうは書いていないけれども、そういう部分が読み取れるわけです。
先ほど本多委員から、立体物とかそういうものは除いてということで請願者は言っているようだがと言っているのですが、請願の要旨は11万点の移管の即時停止を求めるとなっているのです。よしんば、古文書等を除く図書及び地図資料は残してくれというとき、実際問題、この物量はどれぐらいあるのか。
◎(教育庁参事兼生涯学習課長)
11万5000点のうちの5万点が紙芝居であります。
どういう表現でお話ししたらいいかよくわかりませんが、いずれ専門業者に頼んで、トラックで何往復かすると。3日ぐらいかかるという今の予定です。そういうくらいの物量はあります。
◆(須田善明委員)
11万5000点が確認されたということなのですが、ではそれまでどういうふうな管理だったのかなという疑問があるわけです。いずれ、それなりの相当な量もあるのでしょうし、その優先度がある程度ある中で、今後移していく計画なのだろうと思うのです。ある程度の移動、あるいはその対応をするためのスパンがあるとするならば、先ほど申し上げたようなメンタルな部分、あるいは物理的な部分、両方合わせてどういう解決になるのか、落ち着きどころを模索していただきながら進められるのがよろしいのかなと私自身、ここまでの議論、あるいは関係の皆さんのお話を聞いていて、率直な所感であります。
◆(加賀たけし委員)
図書館協議会で全く議論しなかったということ、いろいろ相談をしたり何なりするということをしなかったと。これはどういうことなのですか。平成11年度、平成13年度にも移したということなのですが、そのときに青柳文庫とか養賢堂文庫とかも将来は移していくのだという方向でまとまっていたということで理解していいのですか。そんなことはまだ決定していなかったのだということなのですか。どういうことなのですか。
◎(教育庁参事兼生涯学習課長)
平成11年度、平成13年度のときも一部移管をしております。平成11年度のときは主には甲冑とか仏像、十一面観音とか、そういったものを移しております。平成13年度のときは文書等々、涌谷伊達家文書とか、伊達家文書とかを移しておりまして、このときにも基本的には今回移す過程と同じように、関係機関の職員が協議しながら移してきたということであります。そういう意味では、この扱いに関しては、今申し上げたように過去にもそういう形で職員が協議しながらやってきた。
文化財指定に当たっても、博物館の学芸員と一緒に図書館が協力連携しながらやってきたということから、今回につきましても同じように職員でもって検討してきて、そういう流れの中で今回も移管を決めたということでございます。
◆(加賀たけし委員)
この間補正予算で決まって、私たちもよくわからなかったということがあるのですけれども、そういうことが決まったということで、その後、図書館協議会の方々はかなり御立腹されているということを聞いております。何で協議会に相談をしないのですか。
先ほど須田委員も言ったけれども、図書館の本当に発祥の地ということで、県の図書館の原点みたいなところがありますから、非常に微妙なところあるだろうと思います。そういうところを配慮して、図書館協議会に相談をして、そして図書館と博物館で協議をして順次進めるということが普通ではないのかと思うのです。なぜ図書館協議会には相談されないのですか。
◎(教育長)
先ほどのお答えの繰り返しになりますが、今までそういう流れがあるということでありまして、そういう中で今回の作業も進めたということでありますから、決して唐突なことではないという認識をしております。
それから、さかのぼりますと昭和60年になりますが、図書館が持っている貴重な文化財的な価値のある資料を、当時は東北歴史資料館でありましたが、そちらに移すことを検討すべきだというふうな図書館協議会からの答申が出ております。少し古い話でありますけれども、ある意味そういった協議会の考え方も一つの流れの発端としてあるとは思っております。
◆(加賀たけし委員)
そうだとすれば、なおさら、図書館協議会にこういうことやるぞと。答申があったことをやるぞと言ってまとめていけば、図書館を運営する関係者の皆さん、ごたごたしないのではないかと思います。何で図書館協議会で相談しないで、事務局だけで協議をして決めているのですか。そこがわからない。
◎(教育長)
もともとそういう流れがある中でやって今回の作業をやったということであります。
これも繰り返しになりますが、今回の問題の本質的な論点は、移管すべきかどうかということではなくて、移管した後のその利活用の問題、あるいは評価の仕方の問題だろうと思っております。
◆(加賀たけし委員)
だから、その流れというものを一つ一つ手続をとって丁寧にやらなくてはならないのではないですか。文庫なども移しますという方針は、いつ立てられたのですか。
◎(教育長)
先ほど申し上げましたように、平成13年度のときに、文庫のたぐいのものについても移管しております。
◆(加賀たけし委員)
青柳文庫とか、そういう文庫を移管しますということは、いつ決めたのですか。そして、それはもう図書館協議会には全く議論しないで、やっているわけですか。
◎(教育長)
今回、青柳文庫とか養賢堂文庫を移すという判断をしたのは、先ほど申し上げたように、昨年1月から両館の職員、あるいは生涯学習課、文化財保護課の職員で検討機関を設けまして、そこで議論した結果として、新たにそういった価値の高い文庫は移した方がいいだろうという判断に至ったというものであります。
◆(加賀たけし委員)
そういうことも今は聞いてわかっています。問題は、図書館を運営する協議会でなぜ話してやらないのか。私はわからない。そういうふうに事務的に協議したならば、あとは協議会にかけてどうですかと。方針が決まってからの報告ではだめです。怒るのは当たり前だと思います。その辺のボタンのかけ違えみたいなところはあるのではないですか。流れがあると言っても、それは事務局の流れであって、図書館協議会の流れではないのでないですか。
◎(教育長)
私どもとしては方針が決まって、そのことについて御説明をするということで足りると思っておりましたが……。
◆(加賀たけし委員)
だから、なぜ図書館協議会で説明しなかったのかということ聞いているのです。なぜ事務局だけでやって、図書館協議会という大事なところでやらないのですかと。理由は何ですか。
◎(教育長)
再三お答えしておりますが、従来からそういった流れでやってきているということでありますので、今回もこの11万5000点を移管するという方向性を決めた上で、それについて御説明をするということで足りると思っていたと、そういうことであります。
◆(仁田和廣委員)
加賀委員は納得していないようだけれども、執行部と意見が平行線なのです。きょうは、執行部がマスコミ等に出している部分以上に、例えば歴史博物館で今後無料で開示できるとか話が出たわけです。それから必要性も言っているわけです。今後、図書館協議会ともう少し打ち合わせをしながら、理解を求める運動をしてください。ここではそろそろ打ち切っていただいて、採決をしていただきたい。議事進行です。
◆(加賀たけし委員)
だから、流れがあったと言いながら、いろいろな意見が後から出てくる、図書館協議会の方が御立腹になっていたという話も聞きますけれども、なぜそうなるのか。流れがあるとすれば、何もそんな問題はないわけです。それがそういうふうになっているということは、もう少し丁寧に図書館協議会にかけてやるとか、そういうことが必要だったのではないのかと。それに対して丁寧に説明をしてください。
◎(教育長)
繰り返しになりますが、流れの中で私ども作業をして、今回11万5000点移管した方がいいだろうという判断に至ったということであります。それを協議会で御説明した場で、委員お一人から御理解を得られなかったということは残念でありますが、この問題の本質は、移管した後に博物館と図書館、両方においていかに県民がアクセスしやすい体制をつくるかということであります。そこは私ども今後、最大限努力いたしますし、関係者の御意見も伺っていきたいと思っております。
○(寺島英毅委員長)
質疑を終了いたします。
続いて採決を行いますが、その前に私から一言お話をしておきたい。執行部の説明を今までるる聞いていて、私もまだ疑義が残る。
一つは、図書館には図書館法という法律があり、博物館には博物館法という法律があるわけで、その法律に基づいて収納物の整理とか管理、あるいは展示が行われていて、何で図書館でなければいけないのか、何で博物館でなければならないのか、その辺の事務的な検討はまだ十分でないような気がします。その辺、執行部でもう少し研究してください。
それから、宮城県図書館で文化財の指定を受けた。文化財の指定を受ければ、即、何で博物館に持っていかなければいけないのか、その辺の理由の説明がない。国立国会図書館とか、東京都立の中央図書館とか、そういうところには文化財の指定を受けた書籍はいっぱいある。それは現在、図書館できちんと管理をしているわけで、文化財の指定を受けたから博物館だというふうに短絡的に考えていいのかどうなのか、この辺も私は疑義が残ります。
それから、今までの経緯として平成11年度と平成13年度に図書館から博物館に移したと。これも私も聞いておりますし、記録も読みました。その当時の大立目教育長が、一時期図書館長を務めた時期があって、そのときに図書館にある11万点をどうするかという議論を図書館、博物館両者で行って、文化財保護課長も入って議論をしたやに聞いています。そして、工芸品とか武具甲冑に加えて、坤輿万国全図も博物館に移そうと。それから書籍以外の古文書についてはマイクロフィルム化した上で全部博物館に送ると。ただし書籍は残すと。したがって、各文庫は残すという方針を立てて、それに基づいて、その後一貫して作業を進めてきていたという説明もあるので、この辺は執行部の説明と一部食い違いの部分がある。
我々の任期も余りない中で、この後どうするかという問題あるのですが、ここで採択、あるいは不採択という結論もなかなか難しいと思うのです。我々の委員会はこれで最後になるわけですが、次の文教警察委員会に、課題として残さざるを得ない状況なので、それは残しながら、きちんと時間をかけて議論をしていただいて、その上で結論を出していただきたいという希望を持っています。
続いて採決を行います。いかがいたしますか。
〔「継続審査」と呼ぶ者あり〕
請願番号330の3については、継続審査すべきものと決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
請願番号330の3については継続審査すべきものと決しました。