資料移管に関する再考を求める請願及び陳情について

只今、私たちは宮城県議会議長に対し「宮城県図書館資料の東北歴史博物館への移管の即時停止と移管決定に到る手続きの公開に関する請願書」を、宮城県知事、宮城県教育委員会委員長に対し同趣旨の陳情書を提出して参りました。
資料移管については去る2月25日付けの新聞紙上で知り、ことの重大性から、再考を求めて請願・陳情を行うことを決意しました。
 本年、平成23年(2011)は、日本初の公共図書館である「青柳文庫」創立180周年、宮城県図書館創立130周年、それに加えて青柳文蔵生誕250年にもあたっています。この記念すべき年に、宮城書籍館(現宮城県図書館)の基盤となった「青柳文庫」、「養賢堂文庫」の蔵書を含む全ての古典籍を東北歴史博物館に移管するということは、宮城県民にとっての衝撃的出来事というばかりでなく、日本の図書館界にとっても重大な危機と考えます。
私たちが請願・陳情を決意することに至った経緯は、県民の意向を聴いたり、宮城県図書館長の諮問機関である宮城県図書館協議会の正式議題として諮られることなく、重大な決定が行われ、それが実行されようとしていることに大きな危機意識を持ったからです。報道で伝えられるところによりますと、宮城県図書館から東北歴史博物館への11万点の資料の移管作業は、本日2月28日から始まり6月までに、全てが完了する予定です。
図書館資料の利用主体は宮城県民であり、全国の学者や研究者です。県民共有の財産であり、さらには多くの学者や研究者にとって貴重な研究資料です。その資料が、県民に広く知らされることなく、性急に図書館から博物館へと移管されようとしています。学芸員が研究しその成果を展示という手法で公開する博物館と、一般公衆が無料で読み、研究できる図書館とでその役割が違うことは「博物館法」「図書館法」にも明記されています。図書館資料は「利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と法律で規定され、身分貧富の別なく誰でも学ぶことのできる最良の生涯学習施設です。県民の参加できる公聴会を設け、宮城県教育委員会宮城県図書館協議会の正式議題として論議されることを求めます。
現在移管の対象となっている古地図や古書は、戦前の司書達が、部分的ではありますが疎開によって仙台空襲から守った「青柳文庫」等の古典籍や、戦後宮城県図書館の蔵書復興のために尽力された郷土史家の寄贈によるものが殆どです。13年前に宮城県図書館が新築移転されましたが、その時想定されていたのは、貴重な資料を収蔵する貴重書庫と、それを展示して公開する全国的にも最大規模の大きな展示ホールを備えた図書館です。それが現在の宮城県図書館です。
もし報道されていることが事実であるとすれば、重大な県民に対する背信行為ともいえるのではないでしょうか。そうしたことを危惧し勇気を持って取り急ぎ連絡が取り合えた私たちがまず立ち上りました。
皆様方におかれましても、あらためて宮城県図書館が直面している危機がいかに重大な事であるかをご理解いただき、これからも今までと同じように図書館資料として利用し、地域史研究や日本の学術文化の向上に大切な役割を果たして行くことができますように、ご理解とご支援をいただきたくお願い申し上げます。

     請願・陳情者事務担当 早坂 信子
                           平成23年2月28日